今回よりコラムも不定期に投稿していきたいと思います。内容は都度変わりますが、レビューしたいお店が閉店したけどレビューしたい、などの用途で考えております。今回はその第1弾。
東銀座にあった、半年以上先でないと予約が取れない超人気だった「山岸食堂」さんです。ここの店主だった山岸さんが急逝され、2015年8月を以てこの店の歴史は幕を閉じました。自分は2015年1月に1度訪問しただけですが、山岸さんの実直で温かみのある料理を十分に堪能できたことは本当に光栄です。こんな山岸さんの実績を少しでも伝えることができればと思い、書き記すことにします。
外観・内観・ポイント
東銀座にまるで隠れ家ようで、かつ、お店の名称通り「食堂」にふさわしい佇まいでこの店は存在しておりました。
山岸さんはいつもにこっと微笑んでくれて、下手(したて)な応対だった。あまり会話はなかったですが、料理が彼の全てを語っていたと今になって思うのです。「実直で温かみがある」自分はこう感じました。
お店はカウンター8席、テーブル4人×2で埋まるの小さなお店。それもそのはず、接客から調理など全てを山岸さん1人でやっておられたので、小規模でないと回らないから。これが山岸さんの体を蝕んでいったのかもしれない、けどそれを言っても仕方がないか・・・
今更ながら正直に言うと、店内はお世辞にも綺麗ではなく、男やもめの粗雑さも垣間見えて、本当に美味しいもの食べられるのかな?というのが自分の中での第一印象でした。でも、今思うとこれも山岸食堂の「味」の1つだったのでしょう。
このテーブルクロスもこの店のトレードマークかなと。テーブルセットもどこか家庭的な感じでしたね。
ワインもワイングラスでなくて、こうして普通のグラスで。まるで家庭にいるかのような居心地の良さもありました。
メニュー・料理のレビュー
出てくる料理はどれも家庭的な感じでした。高級食材を使っていないが、素材の良さを最大限に引き出す工夫と技術、そして情熱がこもっていた料理だったと思います。
◎生ハムクレープ巻き
恐らくここに来た人はほぼ100%オーダーする逸品。この店の代表作。
クリームチーズのミルキーな甘さとルッコラの苦味が秀逸な前菜。
自分は表現が稚拙なので一言でいうと、ものすごく感動した料理でした。
山岸さんの全てがここに集約されていたような気がします。だって、これだけ食べて感動したものは以下にはないから。(他のももちろん美味しいけど、ここまでの感動はなかった。それだけ凄いと思ったのであった。)続けます。
◎スモークサーモンのカナッペ
まるでお寿司のような見栄え。サーモンが大きくて食べ応えがあった。
◎ミックスサラダ
山岸さんが吟味された野菜たち。どれも味が濃くて澄んでいて、いくらでも食べたくなるサラダでした。
◎三元豚のパンチェッタ
丁寧に煮込まれた三元豚は肉厚で、噛むとジューシーで口の中が幸せになります。付け合わせのパンと食べるとさらに美味しかった。
◎生ハムとズッキーニのクリームソースパスタ
手打ちパスタはここの定番料理。特に、この生ハムとズッキーニのパスタは大人気でした。
パスタは太麺でモチモチとした食感が官能的でよかった。また、クリームソースが恐ろしいほどに澄んでいて奥深い味わいだったのが印象的でした。
◎小エビのトマトクリームソース
トマトソースベースのパスタ。小エビの甘みと苦味、トマトの酸味がとてもよくマッチしていたソースでした。これもこの太麺パスタに良く合いますね。
料理と一緒にワインも楽しみました。どれも山岸さんにお願いしてチョイスしてもらったもの。値段もお手ごろで、料理ととてもマッチしていた。
◎パンナコッタ
最後のデザート。イチゴが大胆に盛られたパンナコッタです。とてもミルキーさを感じて素直すぎる味わいは、スイーツが大好きな自分も唸るしかなかった絶品ものでした。
この日はここまでで終わりにして、次回の予約(2015年9月)を取って、心待ちにしていたのに、もう待つ必要は無くなってしまったことは本当に悲しいこと。もっともっと食べたかったな!
総評
何度も言っちゃいますが、これだけ家庭的で実直なイタリアンはどこを見てもそうそうはない。唯一無二だったと言えると思います。今度、自分が向こうの世界に行った時にまた食べられたら良いなと思い、このお店のことは胸の中に封印してしまおうと思う。ご冥福をお祈り致します。
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